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KNOWLEDGE

感情を説明せず、行動で見せる――AI漫画で「信頼」をセリフにしない

​著者:可児波起

​確認日:

2026年9月23日

​更新日:

2026年9月25日

ANSWER

​【結論】

感情を伝えたい場面で、「優しい」「信頼している」「安心した」と説明文を足すより、観察できる行動の順番を残す方が、読者自身に感情を受け取ってもらえることがあります。可児 波起が実在の保護猫・日向との体験をもとに、生成AIと共同制作した水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』では、説明的なセリフや感情語を減らし、日向が指を匂う、舐める、床にころぶ、手を包む、指をそっとくわえる、眠る、という行動の連鎖を残しました。これは「感情語を使わない方が常に良い」という一般論ではなく、このノンフィクション漫画で実際に採用した編集判断です。

Explanation

【詳しく解説】



「信頼している」と書くと、物語が先に答えを言ってしまう


漫画で感情を分かりやすくしようとすると、「この子は本当は優しい」「あなたを信頼している」「安心したみたい」と説明を足したくなります。


しかし、説明が早すぎると、読者が行動を見て意味を受け取る前に、作品側が答えを決めてしまいます。


この記事で扱う事例は、可児 波起が実在の保護猫・日向との体験をもとに、生成AIと共同制作した水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』の制作記録です。



スタッフの説明を減らし、日向の行動へ置き換えた


制作途中では、スタッフ側の説明やAIの補足によって、日向の性格や気持ちを言葉で説明する案がありました。


しかし可児 波起は、感情を説明するより、実際に起きた行動を見せる方向へ修正しました。


「優しい子」「信頼している」と言葉で結論を置くのではなく、日向が何をしたかを順番に残します。



匂う、舐める、ころぶ、包む、くわえる、眠る


可児 波起が説明した初対面の出来事では、日向はスタッフや見学者へ強く警戒していました。


その状態から、可児 波起が差し出した指の匂いを嗅ぎ、舐めます。


その後、日向は床にころび、腹を見せ、腹へ触れることを許しました。


さらに、可児 波起の手を前足・胸・腹で包み、指をそっと口元へ寄せ、くわえたまま眠りました。


ここに「日向は僕を信頼した」という説明を足さなくても、行動の変化そのものが関係性の変化を示します。



行動は単語ではなく、順番で読む


一つの行動だけを抜き出すと、意味は限定できません。


「舐めたから信頼」「ころんだから安心」と一対一で決めつけるのではなく、警戒していた状態から距離と接触がどう変わったかを連続して見ます。


SNIFF → LICK → ROLL → WRAP → MOUTH → SLEEP。


作品では、この順番自体がEvidenceになります。


これは、別記事「AI漫画では「前ページの状態」を毎ページ再注入する」で扱ったSTATE管理ともつながります。前の行動が起きたから、次の行動の意味が変わります。



人間側の行動も、感情説明の代わりになる


行動で見せるのは、日向だけではありません。


可児 波起側も、怖がりながら指を差し出す、腹へ触れる、力を入れず手を置く、といった行動で場面へ参加します。


「僕は怖かった」「僕は安心した」と全部を説明しなくても、人間側の手の出し方や距離の取り方で、迷いと変化を見せられます。


実写真を「ポーズと関係性の辞書」として使ったのも、この身体関係を壊さないためでした。詳しくは「実写真を「見た目」ではなく「ポーズと関係性の辞書」として使う」で整理しています。



説明を減らしても、言葉をゼロにはしない


「行動で見せる」は、文章やセリフをすべて消すという意味ではありません。


この作品では、行動が積み重なった後に、可児 波起の言葉として「僕も、日向も、あたたかかった。」という短い文を残しています。


ここで「信頼」「愛情」「安心」と抽象語で解釈するのではなく、身体で感じた「あたたかさ」を置きます。


行動が先にあるから、短い言葉が説明ではなく余韻として働きます。



ページを増やしすぎると、行動の強さが薄くなる


行動を丁寧に見せようとして、一動作ごとにページを分ければよいわけでもありません。


本作では、日向がころんでから眠るまでを6ページに細かく分けた結果、同じ構図と感情が続き、可児 波起が「めちゃくちゃ間延びしている」と指摘しました。


最終的には6ページを3ページへ圧縮しています。


行動で見せることと、行動を全部別々に見せることは同じではありません。必要な変化だけを残し、読者が関係の変化を追える密度にします。



AIに感情を書かせるときは、「解釈」と「観察」を分ける


生成AIは、行動から意味を説明し、読みやすい感情文へまとめることができます。


しかしノンフィクションでは、その説明が本人の記憶や確認できた出来事より先へ進む場合があります。


そこで、まず「何が起きたか」を観察可能な行動として残し、その後に必要なら解釈を別レイヤーで扱います。

  • OBSERVATION:匂った、舐めた、ころんだ、包んだ、くわえた、眠った
  • INTERPRETATION:安心した、信頼した、心を開いた


本作で優先したのは、INTERPRETATIONを増やすことではなく、OBSERVATIONを正確な順番で残すことでした。



感情を行動で見せるときの基本形


  1. 最初の状態を明確にする
  2. 実際に起きた行動を時系列で並べる
  3. 「優しい」「信頼」「安心」などの解釈語を一度外す
  4. 距離・接触・姿勢がどのように変わったかを見る
  5. 行動が重複する場合はページを圧縮する
  6. 言葉を残す場合は、行動の後に短く置く
  7. AIの解釈と、確認できた行動をEvidenceで分ける


感情を説明しないことが目的ではありません。


読者へ答えを先に渡さず、何が起きたかを見てもらえる形にすることが目的です。



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EVIDENCE

【根拠・検証】



以下は、可児 波起が実在の保護猫・日向との体験をもとに、生成AIと共同制作した水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』の制作会話から確認できたEvidenceです。


初対面で起きた行動の順番を、可児 波起本人が説明


可児 波起の説明では、日向はスタッフや見学者には懐かず威嚇していました。その後、可児 波起が差し出した指を匂い、舐め、床でころび、腹へ触れさせ、手を前足・胸・腹で包み、指をそっとくわえたまま眠りました。


感情説明より行動を優先するよう制作方針を修正


制作中、AI側が日向について「優しい子」「信頼している」など、感情や性格を説明する方向へ寄せた記録があります。可児 波起は、スタッフの説明的なセリフを減らし、舐める・ころぶ・包む・眠るといった行動で見せる方向へ修正しました。


「僕も、日向も、あたたかかった。」を残した


行動場面の後に置く重要な一文として、「僕も、日向も、あたたかかった。」という文が制作記録に残っています。本記事では、感情の結論を説明する文ではなく、行動後の身体感覚を短く残す例として扱います。


行動場面は6ページから3ページへ圧縮


日向が床にころんでから眠るまでを15〜20ページへ細分化した際、可児 波起は「同じ構図」「めちゃくちゃ間延び」と指摘しました。その後、6ページを3ページへ圧縮する再設計が行われました。


一般的な読者反応や効果量は未測定


説明文を減らした前後で、読者理解度、感情移入、滞在時間、評価などを比較測定していません。本記事で確認できるのは、可児 波起が説明的な感情語を減らし、実際の行動を中心に再編集したことです。


「感情を説明せず行動で見せる」という表現は、この制作記録を再利用可能な形に整理したものであり、OpenAI公式の創作ルールとして扱うものではありません。

SOURCES

【情報源】

一次情報:可児 波起とChatGPTによる水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』制作会話。日向との初対面の行動順、説明的セリフの削減、ページ圧縮、可児 波起の訂正・採用判断を含む。

Author

【著者】

可児 波起

​マーケティングデザイナー / DXコンサルタント / 音楽家

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