ANSWER
【結論】
自分専用のAIニュースを作るとき、最初から自分向けのニュースだけを集めるのではなく、収集段階では世界を広く取り込み、その後の「重要度・背景・つながり・深掘り」を個人化します。海辺の部屋では、最初の重要ニュース5〜8本型から、まず広いヘッドラインを浴び、その後に自分向けの解釈へ進む方式へ変更しました。この設計なら、普段なら見ないニュースとの遭遇を残しながら、読む負担だけを個人向けに減らせます。

Explanation
【詳しく解説】
最初から「あなた向け」だけにすると、世界が狭くなる
AIニュースを作るとき、最も分かりやすい設計は「ユーザーが興味を持ちそうな重要ニュースだけを選ぶ」ことです。
情報量は減り、毎朝読む負担も小さくなります。
しかし、ニュースには「まだ興味を持っていないから知らない」という領域があります。
収集段階から強くパーソナライズすると、過去の関心から外れた出来事が入口で落ちる可能性があります。
そこで、海辺の部屋のニュース運用では、収集と解釈を別の工程にしました。
COLLECT BROADLY:まず世界を広く集める
収集段階では、「自分が好きかどうか」より、世界で何が動いているかを優先します。
- AI・テクノロジー
- 経済・金融
- 法律・行政
- 企業・ビジネス
- 国際情勢・政治
- 科学・社会・未来
- 若者・カルチャー
- マーケティング・EC・DX
- 投資・暗号資産
- スポーツ
この段階では、本数を少数へ絞り込むことより、「今日は世界で何が起きているか」を広く見渡すことを優先します。
INTERPRET PERSONALLY:その後で自分向けに意味を付ける
個人化するのは、その次です。
同じヘッドラインを見ても、人によって重要なポイントは違います。
海辺の部屋では、広く集めたあとに次の判断を個人化します。
- PRIORITY:自分にとって今どれが重要か
- CONTEXT:過去のニュースや既存知識とどうつながるか
- CONNECTIONS:別カテゴリーの出来事とどう関係するか
- DEEP DIVE:どれをさらに詳しく調べるか
つまり、情報の入口は広く保ち、意味づけだけを強く個人化します。
最初の「重要ニュース5〜8本」方式をやめた理由
ニュースプロジェクトの初期案では、毎朝の重要ニュースを5〜8本程度にまとめ、10〜15分ほどの音声で聞く構成でした。
効率だけを考えれば、分かりやすい設計です。
しかし実際にサンプルを作ったあと、ユーザーから「ただのニュースの羅列ではつまらない」「まず30本くらい、広く知りたい」という修正が入りました。
そこで、少数を選んで見せる方式から、まず広いヘッドラインを浴び、その後で選ぶ方式へ変更しました。
「30本」も固定しない
広く集めると言っても、毎日必ず30本を出すわけではありません。
当初、30本・10分という数字を固定ルールにしかけたところ、ユーザーから「10分も30本もフレキシブルにしたい」と修正が入りました。
ニュースが多い日は増やし、少ない日は数合わせをしない。
目的は件数を達成することではなく、その日の世界を見渡すのに必要な広さを確保することです。
知らないニュースに出会う余地を残す
この運用を実際に試したあと、ユーザーは、従来のニュースアプリでは普段入ってこないニュースとしてドイツの選挙を例に挙げました。
「自分に最適化されたニュースだけ」を見るのではなく、まず広く取ることで、既存の関心の外にある出来事へ触れる余地が残りました。
ただし、これはフィルターバブル回避率を測定した実験ではありません。
確認できるのは、ユーザー自身が「普段入らないニュースも入る」と評価したことです。
Yahooニュースを「世間の基準点」として残した
個人化が進むほど、「一般的なニュース利用者は何を見ているのか」が見えにくくなる可能性があります。
そこで、専用ニュースとは別に、Yahooニュースで何が掲載されているかを見るスレッドを追加しました。
目的はYahooニュースの完全再現ではありません。
自分専用の解釈とは別に、世間で広く見られているニュースの基準点を持つためです。
OpenAIの「検索」と「パーソナライズ」は別機能として扱える
OpenAI公式では、ChatGPT Searchはウェブを検索し、最新情報と関連する情報源を使って回答できる機能として説明されています。
一方、Personalizationでは、カスタム指示やメモリなどを使い、役割、関心、好みのトーンなどに応じて応答を調整できます。
「収集は広く、解釈は個人化する」という二段構造そのものはOpenAI公式の推奨ニュース方式ではありません。
この2つの能力を、海辺の部屋がニュース運用の中で分けて使った設計です。
この設計の基本形
- 収集段階では関心だけで絞らず、複数カテゴリーを広く見る
- 本数は固定せず、その日の情報量に合わせる
- まずヘッドラインで全体像を把握する
- 重要度・背景・既存知識との接続を個人化する
- AI側から深掘り候補を提示する
- 最終的に何をもっと知りたいかは人間の好奇心へ残す
- 一般的なニュースの基準点も別に持つ
ニュースAIのパーソナライズは、情報を狭くするためだけに使う必要はありません。
広い世界を残したまま、「自分にとって何を意味するか」を深くするためにも使えます。
EVIDENCE
【根拠・検証】
初期案は、重要ニュース5〜8本の朝刊型だった
ニュースプロジェクトの初期案では、重要ニュース5〜8本を選び、10〜15分ほどで聞くポッドキャスト型が提案されました。
その後、実際のサンプルを見たユーザーから「ただのニュースの羅列ではつまらない」と修正が入りました。
まず広いヘッドライン、その後に個人化した深掘りへ変更
ユーザーは「まず30本くらい知りたい」と要求し、その後にAI側がおすすめニュースを選び、別の返答で深掘りする構造を提案しました。
さらに「10分も30本もフレキシブルにしたい」と修正し、30本・10分は固定値ではなく目安へ変更されました。
実使用後、「普段入らないニュースも入る」と評価
新方式を別スレッドでテストしたあと、ユーザーは「めちゃくちゃいい」と評価し、具体例としてドイツの選挙など普段のニュース利用では入りにくい話題が入ることを挙げました。
これは、広く収集してから個人化する方式で、既存関心外のニュースとの遭遇が実際にあったというユーザー報告です。
短期運用後に「世界全体を見ること」が増えたと報告
運用4日後、1週間後の振り返りでは、ユーザーは「世界全体を見ること」「日常では入ってこないニュースを浴びること」「別々のニュースが構造的につながっていると理解すること」が増えたと報告しました。
ただし、これは本人の利用実感であり、第三者比較や定量測定ではありません。
未確認の効果
ニュースアプリの利用時間が何分減ったか、フィルターバブルを何%回避できたか、長期的に知識量がどれだけ増えたかは測定していません。
本ページでは、運用変更の履歴と、ユーザーが実際に報告した変化の範囲だけをEvidenceとして扱っています。
SOURCES
【情報源】
Author
【著者】
可児 波起
マーケティングデザイナー / DXコンサルタント / 音楽家
