ANSWER
【結論】
ノンフィクションを画像化するとき、見た目を「きれい」「かわいい」「安心できる」方向へ整えることが、元の出来事を正確に伝えることと一致するとは限りません。可児 波起が実在の保護猫・日向との体験をもとに、生成AIと共同制作した水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』では、シェルター時代の日向の見えにくい左目、緊張した表情、警戒状態などが、生成画像の中で正常化・穏やか化される場面がありました。そこで制作では、「美しく見えるか」より「その時点の状態と物語の意味が合っているか」を優先しました。これは生成AIが常に被写体を美化するという一般論ではなく、この制作で実際に起きた修正記録から得た判断です。

Explanation
【詳しく解説】
ノンフィクションでは、「きれいな絵」が正解とは限らない
生成画像が美しく整っていることと、出来事を正しく伝えていることは別です。
創作上の架空キャラクターなら、表情を少し穏やかにしたり、毛並みを整えたり、傷や汚れを省いたりすることが作品の方向性に合う場合があります。
しかし、実在する動物や人、実際に起きた出来事を描くノンフィクションでは、その「整え」が出来事の意味まで変えることがあります。
この記事で扱う事例は、可児 波起が実在の保護猫・日向との体験をもとに、生成AIと共同制作した水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』の制作記録です。
シェルター時代の日向は、最初から「かわいい家猫」ではなかった
可児 波起の説明では、日向は保護された当時、左目がほぼ見えていない状態でした。
シェルターではスタッフや見学者に「シャー」と威嚇し、誰にも懐かず、可児 波起自身も当時の顔を「虎みたいな顔」と表現しています。
この状態は、作品上の欠点として消すものではありません。
警戒していた日向が、人の指の匂いを嗅ぎ、舐め、やがて距離を縮めていく。その変化を描くには、出会った時点で最初から穏やかで、目もきれいで、安心した家猫のように見えてしまうと、物語の出発点そのものが変わります。
左目を正常化すると、時系列まで変わる
制作中、生成画像では日向の左目が普通の目として描かれたり、不自由な側が逆へ入れ替わったりする問題が複数回ありました。
これは見た目の小さな違いではありません。
可児 波起の説明では、シェルターへ会いに行った時点の日向は、まだ左目が見えていませんでした。その後、日向を引き取ると決めた際に手術を依頼し、手術が成功して見えるようになりました。
したがって、シェルター場面で左目を「きれいに正常化」すると、単に美化されるだけでなく、まだ起きていない回復を先に描くことになります。
ノンフィクション画像では、外見の正確さがそのまま時系列の正確さになる場合があります。
手術後も、左目の涙は「消すべきノイズ」ではない
可児 波起によると、手術後、日向の左目は見えるようになりました。
一方で現在も左目には涙がたまりやすく、可児 波起が拭くことが日課になっています。
画像を「きれい」に見せるだけなら、涙や目元の不均一さを消した方が整って見えるかもしれません。
しかしこの作品では、左目は単なる外見の特徴ではなく、出会い、手術、現在の暮らしまでをつなぐ時間の痕跡です。
そのため、「きれいにするか」ではなく、「このページの時点で、左目はどの状態だったか」で判断します。
怖い顔を、無理に優しい顔へ変えない
表情も同じです。
日向が最初から人へ安心し、柔らかい表情をしていたように描けば、絵としては親しみやすくなるかもしれません。
しかし作品で重要なのは、「怖い猫が実は優しかった」という単純な美談に整えることではなく、強く警戒していた日向が、実際に人との距離を変えていったことです。
最初の緊張があるから、その後に指へ近づく行動や、手を包む仕草の意味が大きくなります。
ノンフィクションでは、不安定さや怖さを残すことが、結果として後半の優しさを強くする場合があります。
「事実を残す」と「傷を強調する」も同じではない
ここで逆方向の誇張にも注意が必要です。
ノンフィクションだからといって、傷、涙、汚れ、怖い表情を必要以上に強く描けばよいわけではありません。
重要なのは、美化しないことではなく、確認できる状態から勝手に離れないことです。
きれいにしすぎない。悲惨にしすぎない。かわいくしすぎない。怖くしすぎない。
そのページで必要なのは、作品として刺激が強い絵ではなく、その時点の出来事と一致する絵です。
ノンフィクション画像では、「見た目」と「意味」を別に検品する
生成画像を確認するとき、見た目の完成度だけを見ると、美化による事実ずれを見逃すことがあります。
この制作では、少なくとも次の二つを分けて確認しました。
- VISUAL:絵として破綻していないか。構図、人物、猫、背景、色、手足などが成立しているか。
- FACT / STATE:その時点の左目、場所、距離、警戒状態、接触の有無、時系列が実話と合っているか。
一枚絵として美しくても、FACT / STATEが違えば、そのページは採用しません。
この考え方は、前の記事で扱った「前ページのSTATEを再注入する」「直らない属性は構図で回避する」ともつながります。
生成AIがなぜ正常化したかは、この記録からは分からない
この制作では、左目が正常化したり、警戒状態より整った表情へ寄ったりした画像が出たため、修正や構図変更を行いました。
ただし、生成AIが一般的に「被写体を美化する性質を持つ」と、この事例だけから断定することはできません。
モデル内部の原因、どの指示が正常化を引き起こしたか、どの程度の頻度で発生するかは測定していません。
確認できるのは、この作品で、整った画像が実話の状態から離れた場面があり、人間側がそれを不採用・修正したということです。
ノンフィクション画像を検品するときの基本形
- その場面で確認できている事実・状態を先に書く
- 外見上の重要属性と、物語上の意味を分けて整理する
- 生成画像を「きれいか」ではなく「その時点と一致するか」で見る
- 正常化・美化・悲惨化など、事実から離れた変更を検出する
- プロンプト修正で安定しない場合は、構図や画角も変える
- 時系列が変わる表現は採用しない
- 確認できない傷や感情を、演出のために追加しない
ノンフィクション画像の品質は、写真のように正確であることだけでは決まりません。
水彩でも漫画でも、出来事の状態・時系列・関係性が守られているなら、表現を変えながら事実を残せます。
このKnowledgeの関連知識
Evidenceの考え方: 画像でも文章でも、自然・美しいことと確認済み事実であることを分けて扱う。
EVIDENCE
【根拠・検証】
以下は、可児 波起が実在の保護猫・日向との体験をもとに、生成AIと共同制作した水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』の制作会話から確認できたEvidenceです。
シェルター時点の日向の状態は、可児 波起本人が明示
可児 波起は、シェルターへ会いに行った時点の日向について、左目がほぼ見えておらず、スタッフや見学者へ「シャー」と威嚇し、誰にも懐かなかったと説明しています。「虎みたいな顔」という本人表現も残っています。
引き取り決定後に手術を依頼し、成功したという本人説明
可児 波起は、日向を保護すると決めた際に「なんとかなりませんか」と依頼し、上手くいくか分からない中で涙腺を通す手術をしてもらい、手術が成功して日向が見えるようになったと説明しています。
今回、診療記録、手術名、獣医師の記録などの医療資料までは確認していません。そのため、本記事では可児 波起本人の体験説明として扱います。
現在も左目の涙を拭くことが日課
手術後も左目には涙がたまりやすく、可児 波起が左目を拭くことが現在の日課になっていると本人が説明しています。
生成画像では、左目の正常化・左右反転が繰り返し発生
漫画制作中、生成画像で日向の左目が普通の目として描かれる、見えにくい側が逆になる、といった問題が複数回あり、可児 波起から「最後のコマが左目が普通になってる」「目が見えない目が逆」「指示してもなおらない」と訂正が入りました。
この問題への対応として、設定再確認、実写真参照、横顔・伏せ顔・後頭部など左目の誤りが表面化しにくい構図への変更が実際に採用されています。
「美化」が一般的なモデル特性だとは確認していない
本記事で確認できるのは、この漫画制作で、実際の状態より正常・穏やかに見える画像が生成され、人間側が修正したことです。
生成AIがなぜその画像を出したのか、モデルが一般に美化を好むのか、どの指示条件で発生率が変わるのかは測定・確認していません。
SOURCES
【情報源】
一次情報:可児 波起とChatGPTによる水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』制作会話。日向のシェルター時代の状態、左目の手術前後、現在の涙、生成画像への訂正・修正判断を含む。
Author
【著者】
可児 波起
マーケティングデザイナー / DXコンサルタント / 音楽家
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Evidenceの考え方
画像でも文章でも、自然・美しいことと確認済み事実であることを分けて扱う。 この記事では、AIが扱う情報では、「出典URLを知っている」「資料本文を開いた」「関連箇所を確認した」「その箇所が記事の主張を支持していると照合した」を別の状態として記録します。URLが付いているだけで「事実確認済み」と扱わず、重要な主張ほどどの段階まで確認したかを残すと、引き継ぎや再利用の途中で検証状態が過大評価されるのを防ぎやすくなります。
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