
AIを仕事で使う|Chat・Work・dot・複数AIをどう分けるか

生成AIを仕事へ入れるとき、最初に迷いやすいのは「どのAIを使えばいいか」です。けれど僕は、ChatGPTの通常Chat、Work、dot、さらに複数のAIを並行して使う中で、製品名から考えるより、いま仕事がどの状態にあるかで分けた方が安定すると感じるようになりました。
まだ問いや判断基準が固まっていないなら、対話しながら考える。やることが決まり、複数の画面やファイルをまたいで実行するなら、実作業へ渡す。会話を閉じても継続してほしい役割なら、次へ進む条件や停止時の扱いまで含めて渡す。重要な判断なら、別のAIにも反証させ、人間が最後に統合する。
僕の使い分けは、AIの性能ランキングではありません。「考える」「実行する」「継続する」「反証する」を分けるための仕事設計です。
最初に決めるのは、どのAIを使うかではない
同じ仕事でも、途中で必要な役割は変わります。ECの商品価格を見直すなら、最初は競合や粗利を調べ、どの価格にするか考えます。その判断が終われば、管理画面で商品を探し、決めた値を反映する工程になります。
前半と後半では、必要なAIの使い方が違います。僕はこの違いを意識するようになってから、「全部を一つのAIへ任せる」より、工程ごとに担当を変えるようになりました。
通常Chatは、問いと判断基準を作る場所として使う
僕が通常Chatを最も多く使うのは、答えがまだ決まっていない段階です。仮説を出し、違和感を言葉にし、反証を探し、判断基準を作る。途中で方向を変えることもあります。
この段階では、速く操作することより、何を見れば判断できるかを作ることの方が重要です。価格調整なら「競合より安ければいい」ではなく、粗利、送料、完全一致商品かどうか、販売終了品ではないかまで条件を決めます。
複数AIを使うときも、僕は一つの回答を正解として採用するのではなく、調査、反証、構造化、表現など役割を分けています。これはFour Minds. One Intelligence.で整理した方法です。
Workは、決まった仕事を実際に進める場所として使う
判断基準が固まり、ブラウザやファイルをまたいで実作業を進める段階では、僕はChatGPT Workを使います。OpenAIは現在のWorkを、アプリやファイルを横断し、必要なら長時間プロジェクトに関わり、目標を完成した仕事へつなぐエージェントとして説明しています。
ただ、僕のEC運用では最初からうまくいったわけではありません。調査、判断、文章作成、ブラウザ操作までほぼ全部をWorkへ入れたところ、約30商品で設計を見直しました。
その後、通常Chatへ調査と判断を戻し、Workには管理画面の実操作を中心に残しました。作業単位も小さく区切りました。その結果、300商品規模まで扱える流れを設計し、実際には200商品の更新を完了しました。300商品は設計規模、200商品は実更新実績です。
この経緯はChatGPT Work実践ガイドと、EC商品200件を更新した実例に分けて残しています。
dotでは、作業だけでなく「次へ進む条件」まで渡す
dotを試したとき、僕が知りたかったのは「AIが記事を書けるか」ではありませんでした。記事制作自体は通常Chatでも進められていたからです。試したかったのは、会話を閉じたあとも材料を探し、条件を確認し、次の工程へ進むような継続作業でした。
OpenAIは現在、dotをChatGPT内で常時稼働し、専用のクラウドコンピューターを持ちながら継続的な役割を担えるエージェントとして説明しています。一方、僕のローンチ直後の実験では、「処理が終わった」「公開できた」「記事として読める」「本来の目的を達成した」が別々の状態だと分かりました。
そこで途中から、目的、使う資料、次へ進める条件、止まったときの扱いを分けて渡すようになりました。数日間の実験全体はChatGPT dotに記事制作を任せた記録、完了条件は4つの成功条件で整理しています。
複数AIは、答えを増やすためではなく役割を分ける
AIを増やせば自動的に正確になるわけではありません。同じ問いを四つのAIへ投げて、多数決を取るだけなら、似た前提を共有した回答が並ぶこともあります。
僕は、調査役、批判役、構造化役、表現役のように役割をずらします。別のモデルを使う意味は、「四つ答えがあること」ではなく、同じ情報を違う角度から点検できることです。
そして最終判断は人間が行います。これはAIを信用していないから止める、というより、何を採用するかの基準を一つのモデルへ丸投げしないためです。
僕がいま使っている分け方
考える: 通常Chat。問い、仮説、比較、判断基準を作る。
実行する: Work。決まった作業を、ブラウザ・ファイル・アプリをまたいで進める。
継続する: dot。会話の外でも続く役割に、目的・資料・通過条件・停止条件まで渡す。
反証する: 複数AI。調査や意見を競わせるより、異なる役割で穴を探す。
決める: 人間。何を成果と数えるか、どこで止めるか、どの結果を採用するかを持つ。
この分け方は固定ではありません。Chatで十分な仕事を無理にWorkへ渡す必要はなく、継続する必要がなければdotを使う理由もありません。使える機能を増やすことより、仕事に必要な役割だけを選ぶ方が僕には合っています。
このテーマを、実例から読む
Workの全体像から読むなら、ChatGPT Work実践ガイド。
自律AIへ仕事を渡したときの失敗と修正から読むなら、ChatGPT dotで変わった仕事の渡し方。
人間が短い合図だけで長い工程を進めた方法は、「続きを書いてください」だけでAIはどこまで動けるか。
別スレッドや別工程へ何を残すかは、成果物だけでは足りない「作業状態」の引き継ぎ。
複数AIの役割分担は、Four Minds. One Intelligence.。
AIを仕事で使うとは、AIに全部渡すことではなかった
僕がAIを使い始めた理由は、仕事を避けたかったからではありません。「これもできる? なら、これは?」と試しているうちに、できる範囲が広がっていきました。
その結果、重要になったのは一つの最強AIを探すことではなく、考える場所、実行する場所、継続する場所、反証する場所を分けることでした。AIに仕事を渡すほど、人間側では「何を完成とするか」を具体的にする必要があります。
AIを仕事で使う設計は、AIの能力表ではなく、仕事の流れそのものを作り直すことだと考えています。
生成AIやDXを実務へ組み込む支援内容は、海辺の部屋のStrategies、相談・問い合わせから確認できます。
参考資料
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この記事を書いた人
可児波起(かに なみき) マーケティングデザイナー/DXコンサルタント/音楽家。企業・自治体等60社以上のマーケティング・DX支援に携わり、生成AI・Web・EC・データ活用などを実務で検証・発信しています。





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