【“優しさ”は、設計にも、数字にも、ちゃんと映る】
- 海辺の部屋

- 7月2日
- 読了時間: 2分

最近よく考えるのは、「優しさって、仕事のどこまで設計できるんだろう?」ということ。
僕は普段、クライアントワークやDXプロジェクトに関わっている。
要件定義書を作り、業務フローを設計し、KPIや成果指標を丁寧に積み上げていく。
どこをどう改善すればもっと成果が出るか、どこにボトルネックがあるのか、みんなで議論する。
数値は残酷だけど、正直でフェアだ。
でも、気をつけないと「数字の奴隷」になってしまい、本来“誰かのため”に始めた仕事の意味を見失いそうになることがある。
そんな中、僕が「これは違うな」と感じたのは、パソコン教室の現場に何度も足を運んだときだった。
教室で、シニアの生徒さんがパソコンの前で手が止まっていた。
「これ、どうすればいいの?」
その問いは、マニュアルには載っていない“ちょっとした困りごと”だった。
スタッフはすぐに駆け寄り、笑顔で一緒に解決していた。
決して「手順通りにやってください」と突き放すことはない。
仕事のフローとしては、効率的ではないかもしれない。
だけど、その“寄り添い”や“優しさ”が、教室全体の空気を変えていた。
その月のアンケートには、
「ここに来ると安心する」
「わからなくても上達できる」
という声がたくさん寄せられた。
売上も伸びた。
数字は“優しさ”とは無関係に見えるかもしれないけれど、実は見えないところで、しっかり結果として現れることがある。
僕は思う。
「システム」や「仕組み」も、結局はどこまで“優しさ”を埋め込めるかで、現場の力が決まる。
要件定義でも、UX設計でも、
「誰かが困らないか」
「このプロセスは誰かに無理を強いていないか」
そんな問いかけを何度も重ねていく。
現場の声に耳を傾ける。
うまくいかないことがあっても、その理由を「人のせい」にしない。
優しさは、ただ“甘やかす”ことじゃない。
きちんと仕組みに落とし込んで、「困ったときに助け合える流れ」を設計することだ。
「困ったらいつでも声をかけてください」とひと言添えるだけで、
現場のスタッフが安心してミスをカバーできるようになる。
たったそれだけで、「人が人を支える」力は何倍にも強くなる。
数字や設計の世界にも、“優しさ”はちゃんと映る。
むしろ、それを映し出す努力を続けることで、プロジェクトや会社はもっとしなやかに強くなると僕は思う。
どんなに仕組みが洗練されていても、
そこに“人の優しさ”がなければ、
最後は誰も幸せにならない。
僕は、仕事のどんな場面にも、“優しさ”を埋め込む設計者でありたいと思っている。
海辺の部屋CEO
可児波起




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