AI漫画で前ページの状態が消える|「STATE」を毎ページ再注入した理由

これは、生成AIで漫画を1ページずつ作っていると、「同じキャラクターを維持する」だけでは物語の連続性を守れなかった、という話です。
僕は実在の保護猫・日向との体験をもとに、水彩コミック『ひなたは、先にころぶ ―保護猫から家族へ―』を生成AIと作りました。
その制作中、前のページでは日向がケージから外へ出ていたのに、次のページでは何事もなかったように再びケージの中へ戻っている画像が生成されました。
その1枚だけを見れば自然です。
でも漫画として読むと、時間が巻き戻っています。
漫画では「同じ猫」だけでは足りない
シリーズ画像なら、同じ人物・同じ猫に見えることがまず重要です。
でも漫画には、見た目とは別に「いま何が起きている途中なのか」という情報があります。
場所。姿勢。人との距離。触れたかどうか。直前に何が起きたか。
こうした情報がつながらないと、一枚絵としては成立していても、物語として破綻します。
CHARACTERとSTATEを分けて考える
そこで制作途中から、長く維持するキャラクター設定と、ページごとに変わる状態を分けるようにしました。
CHARACTER:毛色、体格、左目、年齢感など、比較的長く固定する情報。
STATE:そのページ開始時点で変化しうる情報。
STATEには、たとえば LOCATION、BODY STATE、DISTANCE、CONTACT、RECENT EVENT を持たせます。
ケージ内なのか外なのか。立っているのか眠っているのか。まだ触れていないのか、すでに指を舐めたのか。
前ページの終わりが、次ページの入力条件になります。
毎ページ「現在地」を再宣言する
制作途中からは、「このページは前ページ直後」「日向はすでにケージ外」「絶対にケージへ戻さない」といった状態を、次のコマ割りや画像指示へもう一度書くようにしました。
AIが前ページを暗黙に覚えていることへ依存しない。
次ページで間違えると物語が壊れる情報だけを、毎回再注入します。
一枚の完成度と、漫画の完成度は別
生成された一枚が美しくても、前ページから状態が巻き戻っていれば採用できません。
この制作では、左目、人物年齢、ケージ内外、ページ間の重複などを、ページを並べて確認しながら何度も修正しました。
つまり検品も二段階です。
一枚として成立しているか。そして、前後に置いたとき物語がつながっているか。
全部の情報を固定する必要はない
STATEを毎ページ書くからといって、背景の小物まで全部固定する必要はありません。
目的はプロンプトを長くすることではなく、変わると物語が壊れる情報だけを残すことです。
必要のない情報まで固定すると、確認する側の負担が増えます。
重要なのは、「次ページで絶対に失ってはいけない現在地」を選ぶことです。
効果量は測っていない
STATEを毎ページ再注入した場合と、会話文脈だけに任せた場合で、破綻率を比較測定したわけではありません。
そのため、「この方法なら必ず連続性が守れる」とは言えません。
確認できるのは、実際の制作で状態巻き戻しが起き、その後この方法へ変更したという事実です。
まとめ
AI漫画の連続性を守るには、「誰を描くか」だけでは足りません。
そのキャラクターが、いまどこにいて、何が起きた後で、誰とどんな距離にいるのか。
前ページ終了時のSTATEを、次ページへ受け渡す。
生成AIで漫画を作るとき、物語の現在地そのものをデータとして扱う必要があると、この制作で分かりました。





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